ベイクしたノーマルマップが歪むなら、Substance 3D Painter 12.1 のゆがみ補正ペイント(Skew correction)が最短の解決策。カスタムケージを作らず、ローポリへ直接塗って投影方向を直せる。ただし3つの条件を満たさないとボタンが押せない(公式ドキュメントと実機の UI 文字列で確認)。
ベイクするとネジ穴やエッジのディテールが斜めに流れる。条件と名称は実機 12.1.3 同梱の文字列を直接読み出して確認し、操作の挙動は公式ドキュメントとリリースノートに拠った。
ゆがみ補正ペイントは何を直す機能?
ベイク時のレイの向き(ケージ法線)をローポリに直接塗って変える機能。塗った場所は下地ジオメトリの法線を使い、塗っていない場所は自動生成のケージを使う。
ゆがみ(skew)はケージ法線とサーフェス法線が揃わない場所で起きる。円柱側面のネジ穴、ハードエッジの脇、細長い板のふちが典型だ。従来は Maya や Blender でカスタムケージを作るしかなく、修正のたび往復が発生した。
塗った色の意味
ビューポートのゆがみベクター(Skew vectors)は赤=未ペイント、緑=補正済み。
「ゆがみ補正が押せない」のはなぜ?有効化の3条件
Painter は「ゆがみ補正ペイントは無効になっています」と出して機能を止める。必要なのは次の3つだ。
ハイポリ→ローポリのベイクでのみ使う。「ローポリメッシュをハイポリメッシュとして使用」が有効だと不可。
Common settings の Cage を Distance-based(距離ベース)へ。「自動」のままだと対象外。
Average normals にチェック。この平均法線を基準に方向を書き換えるため、オフでは成立しない。
この3条件は公式ドキュメントの記載と実機 12.1.3 同梱の UI 文字列を1対1で突き合わせて確認した(順に「ハイポリメッシュを読み込み」「ケージを『距離ベース』に設定」「平均法線を有効にする」)。⚠ 突き合わせたのは文字列であって画面の挙動ではない。グレーアウトしたら表示中のメッセージを読むのが早い。
ケージ3種のうち「距離ベース」だけが対応するのはなぜ?
ケージの距離パラメーターを画素単位で上書きする仕組みだから。手動調整を前提にした「距離ベース」以外は、上書きする対象が存在しない。
| ケージ種別 | 公式の定義 | ゆがみ補正ペイント |
|---|---|---|
| 距離ベース Distance-based |
ローポリに基づき、距離とパラメーターを手動で調整 | ✅ 使える |
| 自動 Automatic |
ローポリとハイポリを比較して距離を自動計算 | ❌ 使えない |
| カスタムファイル Custom file |
外部3Dモデルをケージとして読み込み | ❌ 使えない |
ゆがみマップの実体は、Painter 内部の説明では「ピクセル単位のオフセットを最前面の最大距離に適用してケージを調整するグレースケールテクスチャ」。距離パラメーターへの差分であって独立したケージではなく、自動計算やカスタムケージには足す先が無い。
実際の手順は?ペイントから自動リベイクまで
条件を満たすと Common settings に「ペイントゆがみ補正(Paint skew correction)」が出て、押すと自動リベイクがオンになる。以下は公式ドキュメントの記載で、当研究所は画面での操作確認をしていない。
ハイポリを指定し、Cage を距離ベース、Average normals をオンに。
ゆがみペイントモードに入り、自動リベイクがノーマルチャンネルに自動で有効化される。
ブラシ・消しゴムツール・ポリゴン塗りつぶしが使え、ペイントモードのショートカットが効く。自動リベイクは変化した領域に限定して走るので、塗る→確認→塗り足すを短く回せる。
自動リベイクは塗るたびに走るためGPUが動き続ける。高解像度で反応が鈍いなら解像度を落として当たりを取り、最後に戻す。目安はGPU・スペック指針を参照。
エッジ保護(Edge protection)は何を守る機能?
エッジ付近だけ、塗ったゆがみ補正をあえて無視する機能。法線のなめらかな勾配を保ち、ハードエッジに投影されたやわらかさを壊さないために使う。
| パラメーター | 日本語UI | 役割 |
|---|---|---|
| Edge distance | エッジの距離 | エッジからどこまで保護を効かせるか |
| Edge contrast | エッジのコントラスト | 保護の勾配。低いほどなめらかにつながる |
先にチェックを入れないと数値が動かせない。 またここでいうエッジはUV境界ではなくジオメトリのハードエッジ(Hard edges メッシュマップ)で、UVを切った場所と一致しない。
基本法線は「メッシュ法線」と「フェース法線」どちらを選ぶ?
曲面が主体ならメッシュ法線、足りないときにフェース法線。12.1.1 で追加された項目だ。
Painter 内の説明も「メッシュ法線は曲面のサーフェスに適しており、十分でない場合はフェース法線を使用します」となっている。迷ったらメッシュ法線でよい。
英語UIと日本語UIで名前がまるで違う|対応表
日本語UIは「スキュー」を使わずすべて「ゆがみ」と訳されている。英語の解説を見ながら日本語UIを操作すると項目が見つからない。
| 英語UI | 日本語UI |
|---|---|
| Skew correction | ゆがみ補正 |
| Paint skew correction | ペイントゆがみ補正 |
| Skew vectors | ゆがみベクター |
| Skew texture | ゆがみテクスチャ |
| Auto-rebake | 自動リベイク |
| Edge protection | エッジ保護 |
| Distance-based | 距離ベース |
| Average normals | 平均法線 |
出どころ:実機(12.1.3)同梱の翻訳リソースを直接読み出して作成。当研究所は英語UI運用のため、日本語UIに切り替えた画面での目視確認はしていない。
バージョンに注意|12.1.2 は undo でゆがみ補正が壊れる
12.1.2 以前なら先にアップデートする。「ペイントして元に戻すとゆがみ補正が壊れる」不具合が 12.1.3(2026年8月26日)で修正されている。
| バージョン | リリース | ゆがみ補正まわりの主な変更 |
|---|---|---|
| 12.1.0 | 2026/06/23 | ゆがみペイントツール・エッジ保護・自動リベイクを新規追加 |
| 12.1.1 | 2026/07/09 | 基本法線モード(メッシュ/フェース)を選択可能に |
| 12.1.2 | 2026/08/03 | ベイク関連のクラッシュ修正(undoの不具合は未修正) |
| 12.1.3 | 2026/08/26 | 「ペイントして元に戻すとゆがみ補正が壊れる」を修正 |
ゆがみ補正は「塗る→戻す→塗り直す」を繰り返すため、12.1.2 のままだと踏みやすい不具合だ。バージョンはヘルプメニューで確認できる。
実機で確認した範囲:検証機のバージョン(12.1.3・ビルド 12.1.3.5709)と、同梱リソースから読み出した日本語UI文字列・有効化条件のメッセージ・ケージ種別の定義文。Painter を起動しての操作確認は行っていないので、ボタンの表示可否・自動リベイクの発火・ベイク結果は検証していない。
まとめ:詰まるのはほぼ「有効化条件」
カスタムケージ作成の往復を Painter 内で完結させる機能。つまずくのは機能そのものより入口だ。
- 3条件=ハイポリを読み込む/ケージを「距離ベース」/平均法線をオン
- 自動計算ケージとカスタムケージでは使えない
- 12.1.2 以前はアップデート必須(undoで補正が壊れる)
ベイクが崩れる原因はゆがみだけではない。ハードエッジとUVの切り方、法線の反転、パディング不足を先に潰すと、直すべき箇所が絞り込める(ベイクエラーの原因別対処/UVアイランドの重なりを直す)。

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