Substance 3D Painter 12.1 の自動UV展開に「ハードサーフェス」モードが増えた。機械やメカのようなカクカクしたモデルで、UVアイランドがまっすぐ揃うようになる。ただし引き換えに「シームの数が多くなりがち」とアプリ内の説明文が断っている。このトレードオフは公式のリリースノートと自動UV展開のドキュメントには見当たらず(当研究所が読んだのはこの2ページ)、アプリ内の説明文にだけ書かれていた。当研究所は展開結果を実測していないので、以下は出典の記述をそのまま示す。
ハードサーフェスモードは何が違う?
アイランドをまっすぐ揃えることを優先する。既定モードは逆にシームの数を減らすことを優先する。
アプリ内の説明文(日本語UI)はこう書かれている。
「デフォルト」ではシームの数が最小限に抑えられ、オーガニックサーフェスに最適です。
「ハードサーフェス」ではトライプラナー方式が用いられ、ハードサーフェスモデルで直線的なアイランドが優先されますが、シームの数が多くなりがちです。
公式リリースノートは「ハードサーフェスアセット向けに調整された新しい自動展開モード」「UVの歪みを最小化し、直交方向に揃ったUVレイアウトを生成するので、メカニカルなメッシュに適している」とだけ書いている。シームが増えるという代償に触れているのはツールチップのほうだけだ。
| デフォルト | ハードサーフェス | |
|---|---|---|
| 方式 | シーム最小化 | トライプラナー |
| 向いている形 | オーガニック(有機的な形) | 機械・箱もの |
| アイランド | 数を減らす | 直線的に揃える |
| シーム | 少ない | 増えがち |
どこで設定する?
公式が挙げている契機は2つ。新規プロジェクトを作るときと、既存プロジェクトにメッシュを再読み込みするときだ。
公式の記述は「新規プロジェクトを作成するとき、または既存プロジェクトへメッシュを再読み込みするときに『自動ラップ解除』設定にチェックを入れる」。展開だけを単独でやり直す方法は、当研究所が読んだ範囲の公式ドキュメントには書かれていない。有効にすると「読み込まれたメッシュ上で見つからない UV が生成されます」。モードの切り替えは、その隣の「自動ラップ解除オプション」ボタンの中にある。
日本語UIに「UV展開」という言葉は出てこない
項目名は「自動ラップ解除」。英語の Unwrap をそのまま訳した形だ。日本語の翻訳リソース6ファイル(原文と訳文6,554組)を検索したが、訳文に「UV展開」は0件だった(同じ検索で「ラップ解除」13件・「UV」118件・「シーム」14件がヒットするので、検索側は生きている)。
| 英語UI | 日本語UI |
|---|---|
| Auto-unwrap | 自動ラップ解除 |
| Auto-unwrap options | 自動ラップ解除オプション |
| Unwrap mode | ラップ解除モード |
| Hard-surface | ハードサーフェス |
| Create fewer seams | シームを減らす |
| UV seams | UV シーム |
訳語が揺れている。同じ翻訳リソースの中に Hard-surface→「ハードサーフェス」と、Hard surface/Hard Surfaces→「硬いサーフェス」が両方入っている。画面によって呼び名が変わる可能性があるので、英語UIの語で覚えておくほうが事故が少ない。
「シームを減らす」が選べないのはなぜ?
アプリ内の説明文が理由を明示している。「ラップ解除モード」が「デフォルト」のときだけ使えるオプションだからだ。
ハードサーフェスモードはそもそも直線アイランドを優先する方式なので、シームを減らす方向の調整と噛み合わない。モードを切り替えた瞬間にこの項目が死ぬことを知らないと、設定が壊れたように見える。
自動ラップ解除オプションの中身は?
公式ドキュメントに載っている項目と既定値はこうなっている。
| 項目 | 既定 | 内容 |
|---|---|---|
| Seams | Generate missing data | シームを持たないメッシュにだけ生成するか、全部作り直すか |
| UV Islands | Generate missing data | UVを持たないメッシュだけ展開するか、全メッシュか |
| Packing | Generate missing data | アイランドの配置をやり直す範囲 |
| Margin Size | Small(0.2%) | アイランド同士の間隔。無し/0.5%/1% も選べる |
| UV Island Orientation | Unconstrained | 向きを拘束しない/3Dメッシュに合わせる |
| Avoid Elongated UV Islands | — | 細長すぎるアイランドを分割してテクスチャ面積を稼ぐ |
「Generate missing data(無いものだけ作る)」が既定なので、すでにUVを持っているメッシュには手を出さない。全部やり直したいときだけ「Recompute all」に変える。
うまく展開されないときは?
公式が明記している限界が3つある。
- ハイポリメッシュは処理に相当な時間がかかる
- まれに一部のメッシュパーツで生成に失敗することがある
- 縮退した面や三角形以外の面はうまく展開されないことがある
3つ目が実務で一番効く。Nゴンや潰れた面が残っているとそこだけ崩れるので、読み込む前にモデリング側で面を整理するほうが早い(Maya連携で詰まる箇所)。
手動UV展開はもう要らない?
仕上げまで自動に任せる話ではない。「UVが無いものを動かせる状態にする」ための機能だ。
自動展開はシームの位置を意図で選べない。継ぎ目が見える箇所を制御したいなら手で切る。逆にUVが無いまま渡ってきたアセットを、とりあえず塗れる状態にする用途では強い。
UVが重なっているとベイクが崩れる。自動展開で作ったUVでも、重なりの検査は別途必要になる(UV island overlapエラーの直し方)。
実機で確認した範囲:検証機に入っているのは 12.1.3(実行ファイルのバージョン情報と Creative Cloud のインストーラ記録 12.1.3.5709 の2信号)。モードの説明文・訳語・「デフォルトのときだけ使える」の条件文は、同梱 resources/translation/translation_ja.qm(Qt のコンパイル済み翻訳)を自作パーサで開き、原文と訳文の対を取り出したうえで unwrap / seam / hard.?surface で絞ったもの。この形式は UTF-16BE なので grep や strings では取り出せない(試すと0件が返るが、それは中身が無いという意味ではない)。「UV展開」0件の検索も同じパーサで、日本語の .qm 6ファイル全体を対象にしている。
また、同梱の新機能パネル resources/whatsnew_panel/readme*.md 9言語ぶんの見出し(# 行)を数えると、英語版だけが4項目・日本語を含む他8言語は3項目で、欠けているのはどの言語でも Hard-surface Auto Unwrap だった。
Painter は 12.1.3 になってから一度も起動していないため、展開結果・処理時間・画面の並びは確認していない。オプション項目と既定値は Adobe 公式ドキュメントの記載による。
よくある質問
日本語UIで「自動UV展開」が見つかりません
ハードサーフェスモードにしたらシームが増えました
既存プロジェクトのUVをあとから展開し直せますか
一部のパーツだけ展開が崩れます
まとめ:形で選ぶ2モード
- デフォルト=シーム最小化。オーガニックな形向け
- ハードサーフェス=トライプラナーで直線アイランド優先。メカ向け。ただしシームは増えがち
- 設定するのは新規作成時かメッシュ再読み込み時
- 日本語UIの項目名は「自動ラップ解除」。「UV展開」では見つからない
- 「シームを減らす」はデフォルトモード専用
12.1 のベイクまわりの新機能もあわせて確認しておくと、UV作成からベイクまでの往復が短くなる(自動リベイクの使い方/OpenPBR既定化で変わること)。

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