結論:ComfyUI の起動オプション --fp16-intermediates は、普通の起動ではVRAMをほとんど減らしません。当サイトの検証機(RTX 4070 Ti SUPER 16GB・ComfyUI 0.20.1)で減ったのはパソコン本体のメモリ(RAM)で、メモリの増えが3.2GBから1.1〜1.4GBに下がりました。VRAMの増えは、0.25秒ごとの記録では付けても付けなくても0でした。
VRAMが減ったのは --gpu-only と一緒に使ったときだけです。同じseedでも画像はわずかに変わります。
「VRAMが足りないから fp16 の起動オプションで軽くしたい」と考えている人に向けて、何がどれだけ減るのかを公式のソースと実測で確かめました。
--fp16-intermediates は何をするオプション?
ノードの間で受け渡す画像や潜在(中間値)を、32ビット(fp32)ではなく16ビット(fp16)で持つオプションです。1つの値が4バイトから2バイトになるので、理屈の上では中間値の大きさが半分になります。
- 追加は v0.18.0(2026年3月21日)。説明は「Experimental: Use fp16 for intermediate tensors between nodes instead of fp32.」で、2026年10月13日の最新版 v0.40.0 でも実験的な扱いのままです。
- 対象は、空の画像・潜在を作るノード、VAEの復号の出力、サンプラーが出す潜在などです。
- リリースノートには、一部のノード(ぼかし・シャープなど)が動かない、結果が変わる、といった不具合の修正が v0.18.1〜v0.19.0 に並んでいます。
なぜVRAMではなくメモリが減るの?
中間値の置き場所が、普通の起動ではCPU側(メインメモリ)だからです。
ソースの intermediate_device() は、--gpu-only のときだけGPUを返し、それ以外はCPUを返します(v0.20.1 と v0.40.0 で同じ)。VRAMの大半を占めるモデルの重みは、このオプションの対象ではありません。当サイトはこの読みから「普通の起動ではメモリが減り、VRAMは変わらない」と測る前に予想を書き、そのあとで測りました。
どんな条件で測った?
起動オプションの有無を2×2で切り替えました(A=なし/B=--fp16-intermediates/C=--gpu-only/D=両方)。2026年10月13日にデスクトップ版で測り、起動のたびに /system_stats の argv で、オプションが ComfyUI に渡っていることを確かめています(中間値の型そのものは記録していません)。
- W1(中間値だけ):4096×4096の空の画像を8枚作り、64×64に縮めてプレビューするだけ。モデルを読まないので中間値の大きさだけが変わります(理論値 fp32 1.61GB/fp16 0.81GB)。
- W2(実用):FLUX.2 [klein] 4B を推奨設定(4ステップ・1024×1024)で4枚生成。
- 物差し:
/system_statsを0.25秒ごとに取り、実行前の空きから実行中の最小の空きを引いた「増え」。各条件3回です。
結果:何がどれだけ減った?
普通の起動(A→B)ではメモリの増えが約2GB減り、VRAMの増えは0のままでした。--gpu-only(C→D)ではVRAMの増えが半分になりました。
| 条件(W1・3回) | メモリの増え | VRAMの増え | 実行時間 |
|---|---|---|---|
| A なし | 3.21〜3.23GB | 0.0GiB | 0.53〜0.58秒 |
| B fp16 | 1.06〜1.44GB | 0.0GiB | 0.28〜0.34秒 |
| C gpu-only | 0.00〜0.04GB | 1.50GiB | 0.12秒 |
| D 両方 | ほぼ0GB | 0.75GiB | 0.06〜0.07秒 |
読むときの注意
Aの3.2GBは理論値の約2倍で、Bで減った量(約2GB)も理論の差0.81GBより大きくなりました。途中で同じ大きさの写しがもう1つできているように見えますが、内訳は測っていません。W1は1回0.3〜0.6秒で終わるので、A・BのVRAM 0は短い山を取り逃がしている可能性が残ります(9月に実際のモデルで各1回比べたときも、VRAMのピークは14.15GiBが14.18GiBになった程度でした)。メモリはPC全体の空きの差で、ComfyUIのプロセスだけを測ったものではありません。
W2の生成時間はAが9.1〜15.3秒、Bが9.4〜16.0秒で、回ごとの揺れが大きくオプションによる差は言えません。
画像は変わる?
変わります。差がごくわずかなこともあれば、目で分かることもあります。
- W2では、AとBの同じseedの画像12組すべてで違う画素があり、割合は0.03〜5.47%、差の最大は255段階の1でした。A同士(別の日の同じseed)の4組は全画素が一致しています。
- 9月に各1回だけ比べたときは、Z-Image Turbo の絵が目に見えて変わり(PSNR 24.58dB)、LongCat-Image は差が小さめ(47.50dB)でした。
以前の画像を同じseedで作り直したいときや、設定を比べたいときは外しておくほうが安全です。
--gpu-only と組み合わせるときの注意は?
VRAM 16GBの検証機では、FLUX.2 [klein] 4B(4枚)を --gpu-only で動かすと、エラーを出さずに進まなくなりました。
CとDの両方で、テキストエンコーダ(7,672MB)と本体(7,392MB)がVRAMに載ったまま、使用率100%でサンプリングが進みません。中断の指示も効かず、アプリを閉じて止めました。片方のモデルを下ろす対照は取っていないので、原因は切り分けていません。--gpu-only の公式の説明は「テキストエンコーダなども含めて全部をGPUに置いて動かす」で、中間値の節約(W1で0.75GiB)よりモデルを置いたままにする分のほうがずっと大きくなります。
どんなときに付けるとよい?
VRAM不足ではなく、メインメモリが足りないときに試す価値があります。普通の起動では中間値がGPUに置かれないので、CUDA out of memory などのVRAM不足の対策としては期待できません(OOMが出る条件で付けて比べてはいません)。VRAM不足ならCUDA out of memoryの対処法やVRAMがあふれたときの時間の損を見てください。
起動コマンドの末尾に --fp16-intermediates を足します。
当サイトのデスクトップ版の設定画面には項目がありませんでした。アプリを閉じてから、データの置き場所の user\default\comfy.settings.json にある "Comfy.Server.LaunchArgs" を {"fp16-intermediates": ""} にします(値が空の項目は名前だけのオプションになります)。
起動後に /system_stats を開き(当サイトのデスクトップ版は http://127.0.0.1:8000/system_stats)、argv に --fp16-intermediates があるかを見ます。
設定ファイルを書き間違えると、ほかの設定ごと読めなくなるおそれがあります。編集の前にファイルを複製し、使い終わったら {} に戻してください。
まとめ
- 普通の起動で減ったのはメインメモリで、VRAMの増えは0のままだった。
- VRAMが減ったのは
--gpu-onlyと組み合わせたときだけで、16GBではモデルの読み込み後に止まった。 - 同じseedでも画像は変わるので、再現や比較が要る作業では外す。
VRAMそのものが足りないなら、起動オプションよりGPUの見直しが近道です。FLUX.2を動かせるVRAMはFLUX.2のVRAM別の選び方に、GPU別のBTOの構成と公式価格はAI画像生成向けBTOの構成に、ComfyUIの基本はComfyUIの使い方入門にまとめています。
よくある質問(FAQ)
--fp16-intermediates でVRAM不足は解消しますか?
付けると生成は速くなりますか?
デスクトップ版の設定画面に項目が見つかりません。
comfy.settings.json に書き、起動後に /system_stats の argv で渡ったかを確かめてください。

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