【Maya × Substance Painter】ベイクで黒い線が出る?3DCG学生がハマった連携の落とし穴と完全解決ガイド
1. 悪夢の始まり:ベイク結果が汚い
意気揚々とモデリングを終え、Substance Painter(以下SP)でベイクボタンを押した瞬間、絶望しました。滑らかであるべき角に、不自然な黒い筋やグラデーションの断絶が発生していたのです。
最初は「ハイポリの形状が悪いのか?」と思いましたが、何度作り直しても直りません。調べてみると、これはPBRワークフローにおける「法線(ノーマル)」と「UV」のルール違反が原因でした。
2. 鉄則:ハードエッジにするならUVは切れ!
結論から言うと、Mayaでのモデリング時に以下のルールを守っていなかったことが原因の9割でした。
角度の急なエッジを「ハードエッジ」に設定した場合、その箇所で必ずUVシェルを切り離す(Cut)必要があります。
Maya上でエッジをハード(Hard Edge)にすると、頂点の法線が分割されます。しかし、UVがつながったままだと、SPは「滑らかにつなげよう」と計算し、法線の不連続性と矛盾して計算エラー(アーティファクト)を起こします。
| エッジ設定 | UVの状態 | SPでのベイク結果 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ソフトエッジ | 結合 (Sewn) | 良好 | 〇 |
| ハードエッジ | 結合 (Sewn) | 不具合発生 (黒い線) | × |
| ハードエッジ | 分割 (Cut) | 良好 | ◎ |
Mayaでハードエッジに設定した箇所を選択し、UV Editorで「Cut UVs」を実行。さらに、UVシェル間に適切なパディング(隙間)を設けることで、色漏れも防げます。
3. エクスポート前の「データサニテーション」
トポロジーだけでなく、FBXとして書き出す前のデータ整理(サニテーション)も重要でした。これをサボると、SPでのブラシ挙動がおかしくなります。
スケール値に数値が入ったまま(例: X軸だけ2.0倍)SPに持ち込むと、ブラシの描画計算が歪み、円形のブラシが楕円になってしまいます。必ず全て「1」にリセットしましょう。
四角形ポリゴンの分割計算がMayaとSPで異なると、シェーディングに微妙なズレが出ます。FBXエクスポート設定で「Triangulate」にチェックを入れるのが確実です。
4. FBXエクスポート設定の正解
「なんとなくデフォルト」で書き出していましたが、SPに渡すためには以下の設定が必須です。特に「Tangents and Binormals」がオフだと、法線マップの計算が狂います。
Geometry: [x] Smoothing Groups [x] Tangents and Binormals <-- 超重要! [ ] Animation [ ] Cameras [ ] Lights
5. 最後の罠:Mayaに戻したときの色がおかしい
SPできれいに塗れたのに、MayaのArnoldでレンダリングすると「金属の質感が違う」「色がくすむ」という現象にも遭遇しました。
これはカラーマネジメント(Color Space)の設定ミスです。ArnoldのaiStandardSurfaceシェーダーにつなぐ際、画像ファイルごとに正しいColor Spaceを指定しないと、物理的に正しい計算になりません。
- Base Color (sRGB): 「sRGB」または「Utility-sRGB - Texture」
→ 人間の目に見える「色」情報なのでガンマ補正が必要。 - Roughness / Metallic / Normal (Raw): 「Raw」または「Utility-Raw」
→ これらは「数値データ(0〜1)」や「ベクトルデータ」なので、ガンマ補正をしてはいけません。また、必ず「Alpha is Luminance」にチェックを入れます。
6. まとめ:基礎理屈を知れば怖くない
今回の課題を通して、単にツールを行き来させるだけでなく、「法線はどう計算されるか」「データはどう渡されるか」という理屈を知ることの重要性を痛感しました。
- ✅ ハードエッジならUVを切る
- ✅ トランスフォームは凍結する
- ✅ FBX設定でTangentsを含める
- ✅ テクスチャのColor Spaceを正しく設定する
これらを守るだけで、作業の後戻りが劇的に減りました。同じように悩んでいる3DCG学習者の助けになれば幸いです!

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