生成AIを回す電気代は、1日8時間×30日で月3,000〜7,000円が目安です(1kWh=31円で計算)。見落としやすいのが夏の上乗せで、PCが出した熱をエアコンが追い出す分、実質3割ほど増えます。24時間の常時稼働なら、クラウドGPUのほうが安くなる領域に入ります。
「ローカルなら生成し放題」と言われますが、電気代はゼロではありません。GPUを平坦に100%で回し続ける使い方は、家庭の消費電力としてはかなり重い部類です。この記事では計算式を示したうえで、構成別・使い方別の目安と、下げる方法を整理します。
電気代はどう計算する?
式はこれだけです。
電気代(円) = 消費電力(W) ÷ 1000 × 稼働時間(h) × 単価(円/kWh)
単価は1kWhあたり31円を使います。全国家庭電気製品公正取引協議会が2022年7月に27円から改定した目安単価(税込)で、契約プランによって前後しますが概算にはこれで十分です。なお以降の表の金額は、すべてこの式と単価から計算した値です。
単価は上昇傾向にある
2026年度(2026年5月検針分〜2027年4月検針分)の再生可能エネルギー発電促進賦課金は1kWhあたり4.18円で、過去最高を更新しています(経済産業省 2026年3月19日発表)。
一方で値下げ方向の制度は恒久的ではありません。2026年1〜3月使用分に実施された電気・ガス料金支援の電気の補助単価は1〜2月が1kWhあたり3.5円、3月が1.5円で、3月使用分をもって終了しています(経済産業省 2025年12月16日発表)。長期の試算をするなら、単価はやや高めに見ておくのが安全です。
構成別の目安はどれくらい?
GPU単体ではなくシステム全体の消費電力で計算します。CPUや周辺機器を含めると、GPUのTDPに1.3〜1.5倍したあたりが実際の draw に近くなります。
| 構成の目安 | システム消費電力 | 1時間 | 1日8時間×30日 | 24時間常時 |
|---|---|---|---|---|
| RTX 5070 クラス | 約350W | 約11円 | 約2,600円 | 約7,800円 |
| RTX 5070 Ti クラス | 約450W | 約14円 | 約3,300円 | 約10,000円 |
| RTX 5080 クラス | 約600W | 約19円 | 約4,500円 | 約13,400円 |
| RTX 5090 クラス | 約900W | 約28円 | 約6,700円 | 約20,100円 |
RTX 5090はTDPだけで575W、瞬間ピークでは600Wを超える計測もあります。ここにCPUを足すとシステム全体で900Wに届くため、上の数字は誇張ではありません。
夏はどれくらい上乗せされる?
ここが見落とされがちです。PCが消費した電力は、ほぼ全部が熱として部屋に出ます。冷房中はその熱をエアコンが外へ運び出すため、追加の電力がかかります。
エアコンの効率(COP)をおおむね3とすると、450Wの熱を追い出すのに約150Wが必要。つまりPC本体の消費電力に対しておよそ3割の上乗せになります。
| PC単体 | 冷房込み(+約33%) | |
|---|---|---|
| RTX 5070 Ti・1日8時間 | 約3,300円 | 約4,400円 |
| RTX 5090・1日8時間 | 約6,700円 | 約8,900円 |
だから「別室に置く」は電気代にも効く
人がいない部屋にマシンを置いてリモートで操作すれば、その部屋を冷やす必要がありません。騒音対策として紹介されることが多い構成ですが、夏場は電気代の面でも合理的です。作り方は自宅にローカルAIサーバーを構築する方法にまとめました。
電気代を下げるにはどうする?
- アンダーボルトする——最も効きます。電圧を下げれば消費電力が落ち、発熱も減るので冷房の上乗せも同時に減ります。性能はほとんど落ちません(手順はこちら)。
- パワーリミットを85〜90%にする——生成時間は数%伸びますが、消費電力の削減幅のほうが大きくなります。
- バッチをまとめて回す——アイドル待機の時間が減り、実効効率が上がります。
- 夜間の安い時間帯を使う——時間帯別プランなら、学習ジョブを夜に寄せるだけで単価が下がります。
クラウドとの損益分岐はどこ?
電気代だけで比べると、常時稼働に近づくほどクラウドが有利になります。上の表のとおり、RTX 5070 Tiクラスを24時間回すと電気代だけで月1万円。ここにGPU本体の減価償却が乗ります。
判断の目安はこうなります。
| 使い方 | 向いている選択 |
|---|---|
| 毎日数時間、常用する | ローカル(電気代は月数千円で収まる) |
| 月に数回、まとめて回す | クラウド(使わない月は止められる) |
| 24時間常時稼働させたい | 要試算(電気代+冷房でクラウドと逆転しうる) |
| まだ本格導入か迷っている | クラウド(GPUを買う前の見極め) |
逆に毎日使うならローカルのほうが安上がりです。その場合は、同じ性能でも消費電力の小さい構成を選ぶと長期のコストが変わってきます。
まとめ
生成AIの電気代は「消費電力 ÷ 1000 × 時間 × 31円」で概算できます。1日8時間なら月3,000〜7,000円、夏はエアコン分でさらに3割増。
下げる手段としてはアンダーボルトが最優先で、消費電力と冷房負荷の両方を同時に減らせます。そして使用頻度が低いなら、ローカルに固執せずクラウドを併用したほうが総額は安くなります。

コメント