アップスケールにはモデルアップスケールとラテントアップスケールの2系統があり、混同すると設定が噛み合いません。元の絵を保ったまま高精細にしたいならモデルアップスケール、描き込みを足したいならラテント。そして両者でdenoiseの適正値がまったく違います。
アップスケールしたらぼやけた、逆に絵が変わってしまった、VRAMが足りずに落ちた——原因はほぼ、2つの方式の違いを押さえていないことにあります。この記事では方式の使い分けと、モデル別のdenoise適正値、VRAMを節約する段階アップスケールを整理します。
2つのアップスケール方式は何が違う?
| モデルアップスケール | ラテントアップスケール | |
|---|---|---|
| やること | 完成画像を専用AIで拡大 | 潜在空間で拡大して描き直す |
| 元絵の保持 | 高い | 低い(変化する) |
| ディテール追加 | 少ない | 多い |
| 向く用途 | 納品用に解像度だけ上げる | 粗い絵を作り込む |
| 2回目KSamplerのdenoise | 低め | 0.55以上 |
「アップスケールしたら別の絵になった」という失敗は、ラテント方式で高いdenoiseがかかっているのが原因です。逆に「ただ引き伸ばしただけでぼやけている」なら、モデルアップスケールのみでKSamplerを通していない状態です。
どのアップスケールモデルを選ぶ?
| 用途 | 推奨モデル |
|---|---|
| 汎用・実写寄り | 4x-UltraSharpV2 |
| アニメ・イラスト | 4x-AnimeSharp または RealESRGAN_x4plus_anime_6B |
イラストに実写用モデルを使わない
実写向けのアップスケーラーをアニメ絵に使うと、線がざらつき、肌に不要なテクスチャが乗ります。逆にアニメ用を実写に使うと、のっぺりして質感が飛びます。ここのミスマッチが「なんか汚い」の主因です。
モデルファイルは ComfyUI/models/upscale_models/ に置きます。ここに入れないとノードのプルダウンに出てきません。
denoiseはいくつが正解?
方式とベースモデルの組み合わせで変わります。ここを一律の値で回している人が多い箇所です。
| 組み合わせ | 2回目KSamplerのdenoise |
|---|---|
| SD1.5 × モデルアップスケール | 0.35〜0.45 |
| SDXL × モデルアップスケール | 0.25〜0.35 |
| ラテントアップスケール後 | 0.55以上 |
SDXLでSD1.5と同じ0.4を使うと入れすぎになり、絵が変わります。SDXLは低めからと覚えておくと事故が減ります。
VRAMが足りないときはどうする?
一度に4倍を狙わず、段階的に上げるのが定石です。
2倍にしてKSamplerを通し、いったん確定させます。
同じ工程をもう一段。一気に4倍するよりピークVRAMが下がり、破綻も減ります。
画像を分割して順に処理する方式に切り替えます。処理時間は伸びますが、VRAMの上限を回避できます。
統合ノードという選択肢
2026年には、モデルアップ・ラテントアップ・Tiled VAE・色補正を1ノードにまとめた統合系ノード(ComfyUI-HiresFix-Ultra-AllInOne など)も出ています。配線を減らしたい場合は検討の価値がありますが、中で何が起きているか分からないまま使うと調整できないので、仕組みを理解してから導入するのがおすすめです。導入手順はComfyUI Managerの使い方を参照してください。
VRAM不足そのものへの対処はCUDA out of memoryの解決法にまとめています。段階処理やタイル分割でも足りないなら、物理的にVRAMが不足している段階です。
顔だけ荒れるときは順番を見直す
アップスケール後に顔が不自然になる場合、処理の順番が原因のことがあります。基本はベース生成 → 顔の修正 → アップスケール。顔を直す前に拡大すると、崩れたまま高精細化されてしまいます。
顔の修正についてはFaceDetailerとマスク部分修正の使い分けにまとめました。
まとめ
アップスケールで失敗する原因は、ほぼ次の3つです。①方式(モデル/ラテント)を理解していない ②アップスケーラーの絵柄ミスマッチ ③denoiseの一律運用。
元絵を保ちたいならモデルアップスケール+低めのdenoise、作り込みたいならラテント+0.55以上。イラストにはアニメ用モデル。VRAMは段階処理で逃がす。この4点を押さえれば、狙った結果に寄せられます。

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