PCが突然落ちるとき、犯人は熱か電源容量不足のどちらかがほとんどです。見分け方は単純で、落ちる直前まで温度が上がっていれば熱、温度は低いのに一瞬でブラックアウトするなら電源。この2つを取り違えると、いくら掃除しても直りません。
レンダリング中や生成AIのバッチ実行中に、警告もなくPCが落ちる。夏になってから頻度が上がった——この症状は原因が2系統あり、対処法がまったく違います。この記事では切り分け手順から、RTX 50世代で特に注意すべき電源まわりの落とし穴までを整理します。
そもそもPCはなぜ勝手に落ちるのか?
熱で落ちる場合、順番があります。CPUやGPUは温度が上がるとまずクロックを下げて耐えようとし(サーマルスロットリング)、それでも下がらないときにマザーボードが緊急シャットダウンを発動します。
| 段階 | CPU温度の目安 | 起きること |
|---|---|---|
| 正常 | 〜80℃ | フルクロックで動作 |
| スロットリング | 90〜100℃ | クロック低下。動くが遅い |
| 緊急シャットダウン | 100〜105℃前後 | 電源が即断。保存されない |
一方、電源容量が足りない場合は段階がありません。必要な電力を供給できなくなった瞬間に、保護回路が働いて一気に落ちます。温度は関係ないので、直前まで70℃台でも突然ブラックアウトします。
熱と電源、どうやって見分ける?
症状の出方で8割は判別できます。
| 観察ポイント | 熱が原因 | 電源が原因 |
|---|---|---|
| 落ちるまでの時間 | 負荷をかけて数分〜数十分後 | 高負荷になった瞬間 |
| 直前の挙動 | じわじわ遅くなる | 予兆なし |
| 落ちる直前の温度 | 90℃超 | 普通(70℃台など) |
| 再現性 | 室温が高い日に増える | 特定の処理で必ず落ちる |
| 再起動までの時間 | 冷めるまで起動しないことも | すぐ再起動できる |
HWiNFO64を「Sensors only」で起動し、ロギングをオンにしてから作業を再現します。落ちた後にログを開き、最後の記録が何℃だったかを見ます。落ちる瞬間の値が残るのがポイントです。
Windowsの「イベントビューアー」→ Windowsログ → システムで、Kernel-Power イベントID 41 が記録されていれば「OSが正常な終了処理を行えないまま電源が切れた」ことを意味します。熱でも電源でも出るため、これ単体では原因を特定できません。温度ログとセットで見ます。
GPUのパワーリミットを70%に落として同じ作業を試します。これで落ちなくなれば電源容量が原因の可能性が高いです。温度も同時に下がるため決定打ではありませんが、切り分けの材料になります。
RTX 50世代で電源が足りなくなるのはなぜ?
消費電力が一段跳ね上がったためです。RTX 5090はTDP 575Wで、瞬間ピークでは600Wを超える計測が報告されています。CPUや周辺機器を足すとシステム全体で900Wを超えることも珍しくありません。
| GPU | NVIDIA推奨 | 実運用で安心な容量 |
|---|---|---|
| RTX 5090 | 1000W | 1200W |
| RTX 5080 | 850W | 850〜1000W |
「推奨1000W」なのに1200Wが要る理由
電源ユニットは定格の80%程度で運用するのが安全とされます。1000W電源なら実効800W。ここにRTX 5090と高TDPのCPUが乗ると常時800Wを超えてしまうため、余裕を見て1200Wが安全域になります。
12V-2×6コネクタは「奥まで挿す」が必須
RTX 4090時代から報告されている12VHPWR/12V-2×6コネクタの発熱・溶損は、主因が不完全な挿入です。カチッと音がするまで確実に差し込み、ケーブルをコネクタ根元で急角度に曲げないでください。変換アダプタの使用は発熱・接触不良のリスクがあるため、ATX 3.1/PCIe 5.1対応でネイティブに12V-2×6を備えた電源を選ぶのが安全です。完全に挿していても長期使用で問題が出た事例も報告されているため、定期的に目視確認する価値があります。
電源は容量だけでなく規格の世代も重要です。古い電源に変換アダプタを噛ませてRTX 50を動かす構成は、容量が足りていても瞬間的な電力変動に追従できず落ちることがあります。ここを疑わずに冷却ばかり強化しても解決しません。
熱が原因だった場合、何から手を付ける?
効果と手間のバランスで、この順番が効率的です。
- 吸気フィルターとファンの清掃——最も多い原因です。ホコリの堆積は数か月で効いてきます。
- CPUグリスの塗り直し——数年使っていれば乾いています。CPU側は保証の問題が起きにくく、GPUより手を出しやすい部分です。
- ケースファンの追加・向きの見直し——前面吸気・背面排気の基本が崩れていないか確認します。
- 電力制限をかける——根本解決ではありませんが、その日から落ちなくなります。
なお、落ちるのではなく「遅くなるだけ」ならGPU側のスロットリングを疑う番です。RTX 50は表示温度が低くてもホットスポットが上限に達していることがあるため、判定方法が異なります。詳しくはGPUの夏の熱対策とサーマルスロットリングにまとめました。
まとめ
「落ちる」の切り分けは、直前の温度と落ち方(じわじわか、一瞬か)の2点で始めます。90℃超で徐々に不安定なら熱、温度が普通で瞬間的に落ちるなら電源。イベントID 41だけでは判別できないため、必ず温度ログとセットで見てください。
そして、RTX 50世代で古い電源を使い回している構成は、容量表記が足りていても危険です。電源の規格から見直すほうが、冷却を足すより確実に効きます。

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