VPC設計を”街の地図”で理解する:初心者でも迷わないサブネット設計【2025年版】
僕はVPCを、「自分たちがインフラを構築・運用する、独立した国(街)」のように捉えています。
- VPC全体:国境線と全体の方針
- CIDR:国の人口規模(使えるIPアドレスの総数)
- サブネット:街の中の区画(商業区、住宅区、工業区)
この「街の地図作り」を適当にやってしまうと、後から「道が狭すぎて渋滞(通信不可)」「危険なエリアに重要な施設を建ててしまった(セキュリティリスク)」といった問題が発生します。
この記事では、VPC設計の中でも特に重要な「サブネット設計」に焦点を当て、初心者でも迷わない3つの原則を、僕自身のTerraformでの設計経験を交えて解説します。
🎨 サブネット設計を「街の区画整理」で理解する
サブネットは、VPCのCIDRブロックを分割した、個々のネットワークセグメント(区画)です。この区画整理をどう行うかが、安全で拡張性の高いインフラの鍵となります。
1 公開範囲で区画を分ける(Public/Privateの原則)
街には、誰でもアクセスできるエリアと、外部から遮断された安全なエリアが必要です。サブネットも、この「公開範囲」によって二種類に明確に分けます。
| サブネット名 | 街の比喩 | 役割 | 設置するAWSリソース例 |
|---|---|---|---|
| Public | 商業区 | 外部インターネットとの接続口 | ALB, Webサーバー(踏み台), NAT GW |
| Private | 住宅区・機密エリア | 外部から直接アクセス不可 | DB(RDS), APサーバー, Cache |
💡 鉄則
Private Subnetのサーバーは、絶対に外部から直接アクセスできないようにします。大切なデータ(DBなど)は、Privateという安全な区画に閉じ込めるのが基本です。
2 CIDR分割は「後で増える」を前提に
VPCのCIDR(例: 10.0.0.0/16)を決めたら、それをサブネットに分割します(例: 10.0.1.0/24、10.0.2.0/24など)。
CIDRの選び方
- サブネットのIPアドレス数は、CIDRの最後の数字(
/24など)で決まります /24なら256個(実質251個)のIPが使えます
📘 失敗しないコツ
用途ごとにIPアドレスの空きを意図的に残すこと。
⚠️ 筆者経験:土地不足の地獄
以前のプロジェクトで、サブネットをカツカツで分割した結果、後から「監視用サーバーの専用サブネット」「新しいVPCピアリング接続用」が必要になり、IPアドレスの「土地不足」でVPCを作り直す地獄を見ました。
💬 Terraformでの設計
サブネットは、AZ(アベイラビリティゾーン)ごとにPublicとPrivateをセットで作成し、将来の拡張用に/20や/22といった大きめのセグメントを予約しておくのが賢明です。IaCでコード化しておけば、再構築も容易です。
3 ルートテーブルは「標識」としてシンプルに保つ
サブネットの交通整理を行うのがルートテーブルです。
ルートテーブルの設定
- Public Subnetのルートテーブル: インターネットゲートウェイ(IGW)へのルート(外部へのメインストリート)を設定
- Private Subnetのルートテーブル: NATゲートウェイへのルート(Privateからの安全な出口)のみを設定
💡 街の地図の考え方
ルートテーブルは、サブネットから出るトラフィックの「標識」です。この標識が複雑になると、どこに通信が向かっているのか分からなくなり、デバッグが困難になります。「必要なルートだけ」を設定し、可能な限りシンプルに保ちましょう。
⚠️ 注意点・失敗談:コストとCIDRの「はみ出し」
サブネット設計で初心者がつまずきやすいポイントを2つ紹介します。
1. NAT Gatewayの常設コスト
Private Subnetがインターネットへ安全に出ていくために、NAT Gatewayが必要です。しかし、NAT Gatewayは時間課金とデータ処理量課金があり、無料枠ではすぐに予算オーバーします。
💡 対策
検証環境では、使用しないときはNAT Gatewayを削除するか、より安価なNATインスタンス(EC2)の利用を検討しましょう。
2. CIDRの重複チェック
VPCを複数作る際や、VPCピアリング(異なるVPC同士を接続)をする際、VPCやサブネットのCIDRが重複すると、絶対に通信できません。
⚠️ 筆者経験:CIDR重複の罠
開発環境と本番環境で同じCIDR(例: 10.0.0.0/16)を使ってしまった結果、ピアリング接続ができず、「まさかCIDRが被るとは…」と途方に暮れたことがあります。設計の際は、「次に作るであろうVPC」のIP帯域も確保しておく、大局的な視点が大切です。
📚 まとめ:最高の「街の地図」を作ろう
VPC設計は、インフラの安全と拡張性を決める「街の地図作り」そのものです。
VPC設計の3つの原則
- Public/Privateで、公開範囲に応じた区画整理を徹底する
- CIDRは「後で増える」を前提に、空きを確保する
- ルートテーブルはシンプルに保ち、交通整理の標識を明確にする
これらの原則をTerraformのようなIaCツールでコード化し、変更可能な「設計書」として管理することで、インフラ運用は格段に楽になります。

コメント